ハイランドパーク12年とは?

ハイランドパークはスコットランドのスキャパ湾に浮かぶオークニー諸島、メインランド島のカークウォールで作られているシングルモルトウイスキーです。
元々は1798年にデビットロバートソンによって設立された蒸留所です。蒸留所が建てられた場所が「ハイパーク」と呼ばれる高台にあったことがその名前の由来とされています。
使用されている樽はスパニッシュオークとアメリカンオークのシェリー樽を使用しております。その中でも12年はファーストフィルのシェリー樽が20%、リフィルのシェリー樽が残りの8割という比率になっています。
また、発芽の工程ではフロアモルティングを採用しており独特の風味を引き出す要因になっている他、麦芽の乾燥には「ホービスターヒル」という独自の採掘場から切り出したピートを使用し、18時間程ピートを効かせます。
そのときのフェノール値が40ppmですが、使用比率は2割ほどのため最終的には10ppm程の値に落ち着きます。
ハイランドパーク12年はシリーズの中でもスタンダードボトルとして位置づけられるものになっています。その味わいは「全モルトウイスキーの中で、もっともオールラウンダーで秀逸な食後酒」と称されるほど完成度の高いものになっています。
ハイランドパークの他のシリーズも少し紹介しますね。
ハイランドパーク カスクストレングスNo1
コチラは最後のおすすめ3選でも紹介していますが、カスクストレングスのタイプです。
値段は1万円前後と少し高くなりますが、カスクストレングスの力強い味わいを楽しめます。
アルコール度数は脅威の63.3%。数あるカスクストレングススコッチの中でも一際高い方だと思います。
ハイランドパーク18年
コチラは18年以上熟成した原酒のみを使用しています。度数は43度になっており価格はカスクストレングスよりも少々高く12,000円前後程になっています。
カスクはファーストフィルが45%残りがリフィルと12年よりもファーストフィルの構成が高くなっていますが、よりヘザーやバニラ、熟れた桃のようなフルーツ味も増していて熟成感は感じられるようになっています。
ハイランドパーク フルボリューム
フルボリュームはパッケージのデザインにも描かれている通り音のチューニングになぞらえてカスクのバランスを合わせるように作られたボトルです。
蒸溜は1999年で、アメリカンオークのバーボン樽で熟成した原酒を100%使用しており、2017年にボトリングしています。
シェリーの甘さが引かれた分、バーボン由来の力強い余韻が特徴のボトルです。
ハイランドパーク12年の前評判
今回も事前の前評判をまとめてみました。
プラス評価
- ストレート、ロック、ハイボール何で飲んでも美味しい、バランスが良い。
- フルーティーでフローラル。花のような香りが最初に来て最後にピートが感じられる。
- 香りが複雑、ヘザー、イチジク、ピート、蜂蜜、オレンジ、カカオと味わい深い。
- 蜂蜜のような甘さとスモーキーさが嫌味でなく美味しい。粘度もありトロッとした印象。
- アルコールの刺激が少なく完成度の高さを感じられる。
- アイラのスモーキーは強いので、スモーキーなウィスキーの入門にはピッタリ。
- 美味しすぎてすぐなくなってしまう。もっと容量があればいいのに…
マイナス評価
- 思っていたよりピートのパンチが弱かった。もっと効いていると良かった。
- 以前はもう少し安く3000以内で買える時もあったが今の4000円程の値段だと高く感じる。
- ラインナップが全体的に高額で手が届かない
正直コメントに関しては、完成度の高さがあってかどれも同じようなコメントばかり見かけました。
ただ味わい、香りに関しては様々な意見がありましたね。ウィスキーの香りの表現は複雑ですからね・・・私はよくパンやクッキーを食べたときのような麦の甘さを感じたりするときに「麦っぽさ」と表現します。
例えば「干し草」という表現がありますが日本人の我々がイメージするのは、畳・・・ですかね?「い草」の香り。
ただ本来は、下記のようなもののことなのでしょう。アメリカの牧場にある巨大なロール状のあれとかですね。
私はどうしても気になって、干し草を入手して香りを嗅いでウィスキーの中から探そうとしましたが難しかったですね・・・人によっても香りの表現は異なるでしょうから実際に確かめるまでは分かりませんね。
余談でしたが、自分なりの確かめ方があっても良いと私は思います。
とりわけ気になったのはマイナス評価が少ない点ですね。強いて挙げればカスクストレングスや18年といった上位のモデルが、値段が高く手が届きに難いという意見でしょうか。
個人的にも12年は比較的買いやすいが、他のものは中々入手できないのでそういった点はマイナスになってしまうかもしれませんね。
ハイランドパーク12年のテイスティングレビュー
ストレート
ではストレートからですね。

注いだ瞬間から柔らかいピートとバニラ、オレンジのような香りが漂ってきます。
そして注ぐときにわかるのですが粘度があってトロッとした印象です…美味しそうですね。

色がいいですね・・・綺麗な琥珀色で粘度があって・・・良いです。
ハイランドパーク12年の香りは?
香りは非常に豊かだと思います。アルコールは弱めで蜂蜜や花のようなフローラルな香りと、オレンジのような柑橘もあります。
ピートはありますが、弱めです。全体のバランスを損なわないいい塩梅ですね。全体的によくまとまった印象です。
ハイランドパーク12年の味は?
口当たりはやはりトロッとした粘度のある感触で、そしてアルコールのピリピリは弱目ですね。
味わいはシェリーの甘さの後バニラというよりは木の風味、ウッディーな印象があります。
甘さの中にもオレンジや、バニラの風味も感じられます。そしてスモーキーなテイストもしっかりとあります。様々な風味が楽しめますね。
フィニッシュにかけて苦みが少しあります。カカオのようなシェリー特有のタンニン感の渋みにも感じられますが、それもわずかですね。
ロック

続いてはロックですね。
香りはアルコール感が良い感じに閉じてフローラルな香りはそのまま感じられます。フルーティーなオレンジや熟れた桃のような甘さと、シェリー特有のレーズンも引き立っています。
非常にうまくまとまっていますね。
スモーキーなテイストはしっかりとあります。ストレートに比べると余韻はやや短くなり、スッキリとした印象にはなりますが、渋みや苦みも抑えられて飲みやすくなっていますね。
ストレートはより香りと余韻を楽しみたい方におすすめですね。
ロックは甘さが引き立ち、飲みやすくなるので苦みやアルコール感が強く感じる方におすすめです。
トワイスアップ

トワイスアップですね。
加水した瞬間から花のような香りとシェリー香が漂ってきます。

加水しても色があまり薄くならない感じですね。
飲んでみて思うのは、「甘い!」という印象ですね。めちゃめちゃ美味いです。
蜂蜜やバニラ、シェリー、が順番に香ってきます。
やはりアルコールのピリピリした刺激が無くなるので、飲みやすい印象のままハイランドパークの良さを楽しめます。
加水することで風味が全体的に弱く感じ、飲み応えがなくなってしまうウィスキーもありますが、ハイランドパークはその点万能だと思います。
ハイボール

ハイボールは美味しいですが贅沢かもしれませんね・・・飲みやす過ぎるのでスイスイ飲んでしまいそうです。
まず、バニラとフローラルな香りと甘さが最初に来て、その後からカカオですね結構加水してもカカオやチョコの余韻が強く残るのはハイランドパークの完成度ならではかもしれません。
若干のエステリー感が加水すると出てきますがストレートでは感じられなかった風味なので思わず「おぉー」といった印象を持ちました。
それでいて苦みや渋みは感じにくいので、全体的な風味が薄くなる分個人的にはやはりストレート、ロックがおすすめですがハイボールはこれで相当美味しいです。
ハイランドパーク12年が合った人におすすめのウィスキー3選
タリスカー10年

価格:3500~4500円
容量・度数 700ml 45.8度
入手難易度:酒屋になら置いてあるレベル
タリスカーはアイランズモルトに分類されるスコッチで、「スカイ島」にて製造されています。
スコットランドの中でも北寄りの地域になりますがそれでも冬に雪が積もるほどの寒さにはならず、年間を通して気象が安定せず「霧の島」と呼ばれるほど濃霧になる事が多いそうです。
樽はリフィルのアメリカオークのバーボン樽とヨーロピアンオークのシェリー樽を使用しています。
その風味はピーティーでスパイシー。特にスパイシーさは黒胡椒と例えられるほどで、公式にも「スパイシーハイボール」という黒胡椒を実際にかけて飲むというアレンジをおすすめしています。
タリスカー自体完成された美味しさがありますが、このアレンジはやってみてください。ビックリしますよ!
タリスカーの公式は結構面白いですよ
見てみるべし!
アイルオブジュラ ジャーニー

価格:3500~4500
容量・度数 700ml 40度
入手難易度:ネットなら手に入るレベル
現在のアイル・オブ・ジュラのスタンダードボトルは?と言われるとこのジャーニーなのかなと言うことで今回選出しました。
同じアイランズのモルトですが、コチラは比較的ハイランドの特徴に近いピート抑えめフルーティー&フローラルなスコッチです。
バーボン樽熟成の原酒を使用しており、バニラやオレンジピールの風味。ピートは穏やかでウッディーな樽香も感じられます。
全体的にアルコール感も弱く非常に飲みやすいライトな仕上がりになっています。ハイランドパークのどっしり感のある酒質とは少し異なる酒質を楽しんでみて下さい。
ハイランドパーク カスクストレングスNo1

価格:10,000円前後
容量・度数 700ml 63.3%
入手難易度:ネットなら見かけるレベル
最初でも記載しましたが、ハイランドパークのカスクストレングスタイプですね。ノンエイジですが飲み応えのある贅沢なボトルです。
そして圧巻の63.3%のアルコール。中々ないですよね・・・正直ストレートでの飲み応えはかなりのものかと思っていたのですが、そうでもありませんでした。
普段からカスクストレングスを飲み慣れているウィスキー好きの方なら特段問題なく楽しめると思います。そう感じさせない完成度が素晴らしいですね。
ノンチルフィルタードで、シェリー樽のうまみがしっかりと溶け出しており、バニラ、チョコ焼きたてのパンのような香ばしく甘い味わいと、ピートの煙たさがバランス良く力強い味わいを作り出しています。
まとめ:ハイランドパーク12年の魅力

ハイランドパークのレビューでしたが、いかがでしたでしょうか?
個人的にはストレートからハイボールまで楽しめるボトルだと思いますが、完成度の高さと味の複雑さはハイボールでは少しもったいないかな~と思ってしまいました。
私個人は、シングルモルトの少しハイレンジ帯のボトルでも「美味しい!」と思ったらハイボールも楽しむタチなのですが、ハイランドパークはストレートで飲むのが一番好きです。
ただ本当に万能ボトルだと思うので是非様々な飲み方で試して頂きたいです。